ボリュームがある分野の復習にあたっては、忘却曲線を利用して学習スケジュールをたてることが効果的です。この忘却曲線に基づいた学習方法は効果が非常に大きいことが、様々な研究で明らかになっています。
可能な限り、忘却曲線を考えて学習のスケジュールを組み立てて、コツコツ継続していくのが良いでしょう。
忘却曲線
人間の記憶は時間とともに減衰していくことが明らかになっております。忘れてしまっては学習した意味がなくなってしまいます。
このような記憶の減衰が忘却曲線であり、学習においては、学んだことを完全に忘れてしまう前に復習する(思い出す)ことで記憶の定着を図ることができます。また、忘却する直前に復習する(思い出す)ことが、記憶の定着に効果があるということが様々な研究から明らかになっています。
忘却曲線に基づく学習スケジュール
理想的な復習スケジュールも忘却曲線に関する研究から明らかになっています。
- 1回目の復習 = 勉強した日の翌日
- 2回目の復習 = 1回目の復習から約1週間後
- 3回目の復習 = 2回目の復習から2~4週間後
1回目の復習は翌日にやらなければ、効果が落ちてしまいます。2回目と3回目は少し期間に幅がありますが、忘れてしまう前に復習しないと効果が落ちてしまうのは同じです。
忘却曲線の具体的なスケジュールへの適用
学習スケジュールをたてる時は、いつも下記を一つのセットとしてスケジュールをたてています。
日にち | 学習内容 |
---|---|
1日目 | 新しい単元を学習 |
2~7日目 | 前日の単元の復習 + 新しい単元を学習 |
7~28日目 | 前日の単元の復習 + 7日前の単元の復習 + 新しい単元を学習 |
29日目~35日目 | 前日の単元の復習 + 7日前の単元の復習 + 28日前の単元の復習 |
35日目~56日目 | 7日前の単元の復習 + 28日前の単元の復習 |
57日目~63日目 | 28日前の単元の復習 |
3回目の復習を開始するタイミングで、いったん新しい単元の学習をストップしています。上の表では、29日目~35日目の復習量が多くなり、その期間は新しい単元を入れていません。余裕が出てきた時が次のセットを始めるタイミングです。
また、勉強スケジュールを週単位で管理できるようにスケジュールを組むと、管理がとても簡単になります。
注意点
上記の学習スケジュールを適用するにあたっては、いくつか注意点があります。
最初にスケジュールをたてる
我が家はまだ低学年ということもあり、勉強のスケジュールを子供が自分でたてることはできません。長男と話し合いながら、勉強のスケジュールは基本的に親が管理してやっています。学年が低い子には、勉強のスケジュールの立て方も一緒に学ぶつもりでやっていくのが良いと思います。
例えば、「2年生の漢字を勉強する」という短期目標をたてた時に、下記のようなことは低学年の子にはまだ判断が難しそうです。
- 1日に新しい漢字をいくつ勉強するのか(毎日発生する復習の時間も加味)
- どのくらいの期間必要か(2ヶ月か、4ヶ月か、6ヶ月か、など)
毎日勉強の時間をとる
新しく勉強したことは、その日の翌日に最初の復習をすることが、この学習スケジュールを実行していく上での前提となります。そのため、基本的に毎日勉強の時間をとることが大事です。継続は力なりです。ほんの少しの時間でも良いので、毎日勉強の時間をとるようにしましょう。
それでも、体調を崩したり、急な予定が入ったりして翌日に勉強の時間を取れないことが発生します。その場合、最初の復習が翌日にできないことになります。そのような場合には、同じ単元をもう一度初学のつもりで勉強するようにしています。
復習の時間を先にとる
勉強していると、どんどん新しい単元に進みたくなってしまいます。しかし、復習をしないと学習したことが定着しません。
忘却曲線に基づいたスケジュールで勉強をすると、復習の時点ではまだ忘れていない、または、少し復習すると思い出せる状態になっていると思います。新しい単元に進む前に、既に学習したことをささっと復習してから新しい単元に進むようにするとうまくいくと思います。
新しい単元を一気に進めすぎない
とても大事なことですが、新しい単元を一気に進めすぎると、復習も一気にやらないといけない日がやってきます。そうすると復習が面倒になってやらなくなってしまうリスクが出てきます。
継続は力なりです。新しい単元は少しずつ、無理なく進めていくのがとても大事です。
まとめ
忘却曲線を学習スケジュールに取り入れるのは非常に大きな効果があります。一方で、復習のタイミングや勉強量の調整が必要で、実際の学習計画に適用するには一手間かかります。
継続は力なりですので、親が子供のスケジュール管理のサポートをしてあげて、毎日のリズムを作っていくことが大事だと思います。